初めてタイに駐在員事務所を作る会社には、前任者がいません。引き継ぎ資料もなければ、「いつ何をすべきだったか」を教えてくれる人もいない。このページは、その立場で赴任した一人の駐在員が、実際に踏んだ罠と、あとから分かった正しい順番をまとめたものです。
どれも公式サイトには「注意書き」程度にしか書かれていませんが、踏むと数十万円単位、または日本への往復が必要になります。
現地法人と違い、駐在員事務所の駐在員はタイの社会保険に入らないケースがあります。一方、日本の健康保険証はタイの病院窓口では使えません。結果、現地で受診すると窓口でいったん100%自己負担。バンコクの私立病院は外国人価格で、入院すれば数十万〜百万円規模になります。日本の健康保険の「海外療養費」で後から一部は戻りますが、日本の治療費基準での計算のため全額は戻りません。
回避策: 出国前に、会社契約の海外駐在員向け総合保険(損保各社の法人向け商品)に加入しておく。キャッシュレス提携病院なら窓口負担なしで受診できます。出国後に気づいた場合、手続きのために一時帰国が必要になることがあります。
公式の処理日数はあくまで目安で、申請時期・書類の状態・担当窓口によって大きくブレます。航空券・住居の解約・家族の学校手続きを「目安」基準で組むと、後ろ倒しの連鎖が起きます。
回避策: 全工程を「赴任日からの逆算」で組み、各工程に余裕(バッファ)を最低2〜4週間積む。下の逆算スケジュールを叩き台にしてください。
住民票(海外転出届)・年金・税務・各種証明書の取得など、出国前なら役所の窓口で1日で終わる手続きが、赴任後だと郵送の国際往復・代理人の手配・時差のある電話確認に化けます。帰国が必須になるケースは実際には多くありませんが、1件あたり数週間と大量の手間が消えていきます。
回避策: 出国前チェックリストを「出国後では面倒な順」に並べ替えて消化する。証明書類は多めに取得し、PDF化して持っておく。委任状を家族に渡しておくと、残った手続きの保険になります。
D-180 = 赴任180日前。会社の状況によって前後しますが、「順番」と「依存関係」はおおむねこの通りです。赤い点は、遅れると後工程が全部止まるポイント。
駐在員事務所か現地法人かで、できる業務・税務・保険のすべてが変わります。ここの判断が以降の全工程の前提になります。
必要書類の収集と翻訳・認証。本社側の登記書類など、取り寄せに時間がかかるものから着手します。
書類の不備1つで数週間戻ります事務所登録との依存関係があるため、専門家(現地の会計事務所・ビザエージェント)を使うかどうかをここで決めます。
TRAP 01の回避はここ。赴任者の家族分も含めて契約します。持病がある場合の引受条件確認にも時間がかかります。
出国後の加入は条件が悪化します下見渡航をするならこの時期。住居契約はワークパーミットや就労の証明を求められる場合があり、順番に注意。
住民票(海外転出届)・年金・税務(納税管理人)・証明書類の取得。TRAP 03のリストをここで全消化します。
到着後は90日レポートなど現地の定期手続きが始まります。初回の期日をカレンダーに入れるところまでが赴任です。
会計・税務の月次サイクル、ビザ・パーミット更新日の管理台帳を作って、ようやく一段落です。
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